カレン・ホーナイ【ホーナイ全集 第3巻】精神分析の新しい道まとめ

健康

精神科医・精神分析家であるカレン・ホーナイの著書「ホーナイ全集」は全7巻あります。

第1巻 女性の心理 カレン・ホーナイ【ホーナイ全集 第1巻】女性の心理まとめ
第2巻 現代の神経症的人格 カレン・ホーナイ【ホーナイ全集 第2巻】現代の神経症的性格まとめ
第3巻 精神分析の新しい道 カレン・ホーナイ【ホーナイ全集 第3巻】精神分析の新しい道まとめ
第4巻 自己分析 カレン・ホーナイ【ホーナイ全集 第4巻】自己分析まとめ
第5巻 心の葛藤 カレン・ホーナイ【ホーナイ全集 第5巻】心の葛藤
第6巻 神経症と人間の成長 カレン・ホーナイ【ホーナイ全集 第6巻】神経症と人間の成長についての考察と名言まとめ
第7巻 精神分析とは何か カレン・ホーナイ【ホーナイ全集 第7巻】精神分析とは何か

このブログでは、「ホーナイ全集 第3巻 精神分析の新しい道」の内容について、なるべくわかりやすい言葉でまとめます。

【ホーナイ全集 第3巻 精神分析の新しい道】

出版社 ‏ : ‎ 誠信書房
発売日 ‏ : ‎ 1975/6/1
ページ数 ‏ : ‎ 346
内容:新フロイト派(第二次対戦後の合理主義的・進歩的な精神分析)の成立を告げる記念碑的な労作。専門家を念頭に書かれた精神分析に関する学術書。

カレン・ホーナイとエーリッヒ・フロムの理論

【ホーナイ全集 第3巻 精神分析の新しい道】の中で、カレン・ホーナイはフロイトの概念を1つひとつ批判し、それを「神経症的傾向」と「基本的不安」という概念で解釈し直しています。

過去を重んじるのではなく患者の現在の分析に重点を置き、「理想像」という概念を立てました。

この点はアドラーの考えに似ていますが、アドラーの考えは浅薄だとしています。

※アルフレッド・アドラーとは、オーストラリアの精神科医、精神分析学者、心理学者。フロイトとユングと並んで、現代のパーソナリティ理論や心理療法を確立した1人。フロイトの共同研究者であり、のちにアドラー心理学を創始。

カレン・ホーナイの「神経症は自己からの疎外の結果」との考えは、その後エーリッヒ・フロムに受け継がれました。

フロムは神経症を下記のように表しています。

「1つの情熱(たとえば金や力や女性に対するもの)が全人格の中で優勢になって分離させられ、その人を支配するようになるのが神経症の特徴。
この情熱が患者の服従している偶像なのであって、この偶像の本質を合理化したりさまざまな違った聞こえの良い名前を与えたりしても事情は変わらない。
その人は部分的な欲望によって支配され、残りのものはすべてこの欲望に変えられてしまう。
そしてその人が弱くなればなるほど、その欲望は強くなる。
つまり患者が自分自身の一部の奴隷になったからこそ、自分自身から疎外されている。」

神経症の本質

神経症の本質は、人間関係の障害とその土台の上に生じた葛藤です。

子どもの頃にたくさんの不利な環境を経験すると、潜在的に「この世界は危険」と考えるようになります。

危険な世界に対して無力感・疎外感・敵意・恐れ・自信喪失を感じると「不安」が生まれます。

不安と一言で言っても、神経症者は精神的に健康な人よりたくさんの不安をもっており、神経症的不安は不安を引き起こす危険が明らかにないこと、あるいは外見上の危険と不安の強さが不釣り合いなことが特徴です。

不安の要因には、他人からの妬み・軽視・報復、孤立や連帯感の欠如、群衆の一部になること(地下鉄の中での恐れ)、金銭や物や知識を蓄えること、プライバシーが侵害されたり自分が他人にあばかれるといった、ありとあらゆるものが含まれます。

これらの不安を克服するため、人生に安全や満足を手に入れる唯一の手段として役立つと思っている神経症的傾向で対処しようとします。

しかし、この傾向はある性格を持ちます。

・「すべき、ねばならない」の強迫的努力:不安は克服すべき、傷付いてはならない、誤りを犯してはならない、安全手段をかたくなに固守する

・幻想にしがみつき葛藤を起こす傾向:動悸は心臓病だという信念を抱くなど、とるにたりない病気の兆候を熱心につかまえる。

・顕在性の不安を生む傾向:些細な刺激に大げさに反応あるいは状況を正しく解釈しない。

・自己と他人に対する関係の障害:他人のせいにする、依存する、敵視する、病気や能力がないことを口実にする。

・潜在性と現実的な達成とのあいだの顕著な隔絶

このような神経症的傾向によって得られる安心感はいつもあやふやで、神経症的傾向が働かなくなると不安に悩まされやすくなります

新たな不安に対処するには、さらなる保護的手段をつくらなければならず、患者はますます柔軟性がなくなります

実際のところ、これらの行動によって患者は「困難から逃げる」といった大きな利益を得ているのですが、本人は気づきません。

そして、矛盾した衝動の中に巻き込まれることで不安が増大し、一層自分自身から疎外することになります。

仮に、食べる、物を買う、配慮される、世話してもらうなどして不安をしずめることができても、それ自体は一時的・部分的なものになります。

このように発達した性格構造が、神経症の中核です。

ところで、神経症的性格障害と単なる症状の唯一の区別はどこにあるのでしょう?

前者はパーソナリティの構造と関係があり、後者はパーソナリティとは関係なく成長しているように見える点が異なります。

つまり、前者は後者のあらわれにすぎないと言えます。

神経症の治療

神経症の治療は、患者と分析者との関係が重要です。

分析者は、症状を脇に置いて患者の性格的傾向を理解し、再発しないようにパーソナリティを変える「性格分析」をします。

そのとき、患者が安心感を得るために使っている主要な手段を知り、どういう刺激を受けると不安を感じるかの「不安が起こるメカニズム」に力点をおくことです。

そして、神経症的傾向なしでもすまされる程度まで不安を軽減させ、患者が本当の自分に戻って自分の判断で人生の困難に対処できるように導きます。

患者本人にとっても、自由連想によって自分を理解することは回復に役立ちます。

過去に加えられた危害に悩まなくなり、克服する道を発見できるようになるからです。

さいごに、神経症者は、安全の追求に心を奪われて不安、抑うつ、偏頭痛等から逃れることだけに満足していては進歩はありません。

自分の中に重力の中心をもつこと、そしてはっきりした願望を抱くことが大切だと自覚することができたとき、神経症的傾向は必要なくなるのです。

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