カレン・ホーナイ【ホーナイ全集 第5巻】心の葛藤

健康

精神科医・精神分析家であるカレン・ホーナイの著書「ホーナイ全集」は全7巻あります。

第1巻 女性の心理 カレン・ホーナイ【ホーナイ全集 第1巻】女性の心理まとめ
第2巻 現代の神経症的人格 カレン・ホーナイ【ホーナイ全集 第2巻】現代の神経症的性格まとめ
第3巻 精神分析の新しい道 カレン・ホーナイ【ホーナイ全集 第3巻】精神分析の新しい道まとめ
第4巻 自己分析 カレン・ホーナイ【ホーナイ全集 第4巻】自己分析まとめ
第5巻 心の葛藤 カレン・ホーナイ【ホーナイ全集 第5巻】心の葛藤
第6巻 神経症と人間の成長 カレン・ホーナイ【ホーナイ全集 第6巻】神経症と人間の成長についての考察と名言まとめ
第7巻 精神分析とは何か カレン・ホーナイ【ホーナイ全集 第7巻】精神分析とは何か

このブログでは、「ホーナイ全集 第5巻 心の葛藤」の内容について、なるべくわかりやすい言葉でまとめます。

【ホーナイ全集 第5巻 心の葛藤】

出版社 ‏ : ‎ 誠信書房
発売日 ‏ : ‎ 1981/3/1
ページ数 ‏ : ‎ 265
内容:カレン・ホーナイによる心の葛藤に関する学術書

神経症的人格構造

本来、神経症的な人格は、自分で決断したり自分の行為に責任を取るという生き方のできない人が、他人を頼ることも他人を支配して利用することも自分独りの世界に閉じこもることもできない矛盾や葛藤にとらわれた状態を指します。

ホーナイは、その要因は親の側にあると考えます。

親が子どもと接するとき、子どもを可愛がったり冷たくしたり突き放したりして言動が首尾一貫しないと、子どもの心の中に親に対する根本的な信頼感が育ちません。

そして「外界は冷たく敵意に満ちていて、そこに放り出された自分は無力で孤立している」と感じるようになります。

自分をそんな状態におとしいれた親や外界に対する恨みや怒り・憎しみが生まれるものの、無力感や絶望感があるため、これらを思い切って表出することができません。

この状態を、ホーナイは「基本的不安」と呼びました。

基本的不安から逃れようとして、個人はさまざまな神経症的要求を持つようになります。

やがてそれらの要求は、「依存・攻撃・離反」という3つの行動につながります。

依存と攻撃の傾向は人生に積極的に対処する努力と言えますが、離反(人から離れて危険を回避する無防備な状態)は葛藤の本質的な部分であり、葛藤に対する防壁でもあります。

正常な人は、その時々の内外の状況に応じて依存・攻撃・離反それぞれの行動をとるため、内的な矛盾や葛藤に悩むことはありません。

しかし神経症的な人は、自分を守る防壁が崩れると葛藤と直面しなければならなくなるため、外界の状況にかかわりなく依存・攻撃・離反のいずれかに固執したり唐突な変更を行ったりして、これをどんな犠牲を払っても守ります

神経症における「外化」

自分自身について何を欠点や短所とみなすかは、何を受け入れ何を拒否するかによって決まります。

神経症的な人は、現実の自己の姿から目を背けるために「外化」という手段を用います。

これはつまり、自分の障害が外界の諸要因によって引き起こされると考える傾向のことです。

「もっと若かったら、もし背が高かったら・・・万事上手くいく」と思い込むことで、不安を生み出す要因を内部から排除して幸福な世界を得ようとします。

しかし状況が変化しても、相変わらず自分自身の神経症をそこに持ち込むため、結局は絶望感を味わうことになります。

絶望感によって完全に麻痺された状態でいると、ちょっとした困難でも克服しがたい障害に思えてしまいます。

もし神経症的な人が、絶望感の存在を示すさほど目立たない兆候に細心の注意を払い、然るべきときに問題を取り上げれば、おそらく多くの悪いことは避けられます

神経症における「葛藤」の解消

神経症の治療において、人生それ自体が極めて有効な治療となります。

神経症をはじめとする心の病は、出発点がどこであろうと、またその道筋がどんなに困難であろうと、最後には必ず人格(パーソナリティ)の障害に行き着きます。

障害の重さの強弱は、神経症の個々の型よりも人間関係の障害の程度で決まります。

葛藤を解消するには、人生を通じて神経症的性格構造(葛藤を生み出した自分の心理過程)をいかに理解し変化させられるかが鍵となります。

自分がつくり出した理想像に固守したり、他人と距離を保ったり、意志の力で何とかしようとしたりするのではなく、葛藤に含まれた神経症的傾向と取り組み、神経症的傾向が完全に必要なくなるまで他人や自分自身との関係を変えるのです。

自分の価値観を確立して実生活に適用すること、つまり自分に責任を負うと同時に、他人の独自性と権利を尊重して他人に対しても義務を果たすことが大切です。

もし成功すれば、人間関係が改善され強迫的傾向も変化し、強迫的傾向がもたらす葛藤も解消できます。

この点でホーナイは、強度の神経症は専門家の手に委ねられるべきだと主張しますが、たゆまぬ努力をもってすれば自らの葛藤をかなりの程度まで自らの手で解きほぐすことができると信じています。

カレン・ホーナイの希望が持てる言葉

さいごに、この本の中でカレン・ホーナイが語った言葉の中で、神経症の治療に希望が持てる言葉を2つご紹介します。

人格は変えられる

そして、

さまざまな種類の体験の1つが、人格変化をもたらすのに充分役立つこともある

・偉大な人物に接して鼓舞される
・同じような境遇の人と親しくなって自己中心的な孤立から抜け出す
・気の合った仲間ができて他人を操ったり避けたりする必要が減る
・神経症的行動の結果がひどすぎて本人がその影響で以前より人を恐れなくなる

このような経験は、それまで固守していた信念や考え方の変化に大きな影響を及ぼすのだと、身をもって感じます。

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