長年精神疾患と付き合っていると、感覚的にいろいろなことがわかってきます。
・ストレスを感じると、数日後にまずは身体的な不調がでてきて、その不調が長引くと次はメンタルの不調がでてくる。
・腸内環境と思考はつながっている(お腹の調子がわるいと思考がマイナスに傾きやすい)。
・再発する周期や再発しやすい場所・環境。
・精神疾患は再発しやすく毎回症状が微妙に異なる。
このように自己分析をすると万が一に備えることができるわけですが、そこに医学的知識が加わるともっと心強いですよね。
そこで、「「心の病」の脳科学 なぜ生じるのか、どうすれば治るのか (ブルーバックス) [ 林(高木) 朗子 ]」という本が精神疾患の理解に役立つので知識を共有したいと思います。
精神疾患の予防・治癒のための心がまえ
まずはじめにお伝えしたいのは、精神疾患はストレスがなくなれば治るという単純なものではない、ということです。
かといって、著者は精神疾患を不治の病であるとは考えていません。
この点は、精神疾患を抱える本人やそのまわりの人にとって希望が持てます。
精神疾患の予防や治癒のカギとなるのは、脳に対する正しい理解(脳リテラシー)と共感・思いやりのあるコミュニケーションです。
これらを介して、人々が互いに調和しながら進むべき道を柔軟に模索していくことが大切です。
精神疾患の原因でわかってきたこと
そもそも精神疾患の原因はなんなのでしょう?
著者は、精神疾患の原因の多くは脳に由来すると考えています。
事実、脳を損傷すると精神状態や心のあり方ががらりと変わってしまいます。
そこに、遺伝要因と環境要因の両方が影響を及ぼすことで精神疾患が発症します。
もう少し具体的に説明すると、目や耳から入ってくる感覚情報と自身がもともと持っている信念の統合がうまくいかなくなると、カラダにさまざまな不具合が現れます。
慢性ストレスがあると脳内やカラダに炎症が起き、うつ病のような精神疾患や発達障害、がん、生活習慣病などさまざまな疾患を発症することがわかっています。
このことから、内分泌や免疫、腸内細菌と精神疾患の関係が注目されています。
では、「脳」のどこに問題が起きるのでしょうか?
有力視されているのは、シナプスの不具合が精神疾患の原因となっている説です。
シナプスの効果は刻々と変化するもので、学習や環境といったいろいろな経験が影響を及ぼします。
そのため、たとえ診断名が同じでも、精神疾患の発症メカニズムは個々人で異なる可能性が出てくると言えます。
例えば、AさんとBさんが「パニック障害」と診断されても、両者は遺伝要因だけでなく育ってきた環境も異なるため、当然パニック障害を発症するメカニズムも異なるということです。
(ちなみに、現代において100人中6人が罹患しているうつ病の場合は、遺伝より環境要因が強く影響していると言われています。)
そうなると、個別のカウンセリングの重要性が一層高まるように感じます。
精神疾患の予防治療
薬を使わずに精神疾患を予防治療するために必要なことは、ずばり腸内細菌と睡眠です。
先に説明したように、腸内細菌と脳やカラダの炎症は切っても切れない仲です。
そのため、まずは食事などで腸内細菌の構成を変えることが大切です。
さらに、概日リズムの異常が睡眠障害やがん、生活習慣病、発達したや精神疾患に関連すると考えられていることから、睡眠を整えることも大切です。
夜更かし、短時間あるいは長時間睡眠、中途覚醒、睡眠時無呼吸症候群、寝付けない・・・いろいろな睡眠障害をお持ちの方もいると思います。
睡眠の質を上げるために、ぽよらが日々取り入れている習慣をご紹介します。
・寝る前の軽い全身ストレッチ
・寝る前はスマホをかまわない
・心地よい環境で眠れるように衣類、布団、電気毛布、枕などで調整する
・心配事をベッドに持ち込まない
・寝る前は興奮するようなことをしない
・寝る2時間前は食べ物を口にしない
さいごに
いまの日本は世界的な長寿国で、認知症やパーキンソン病といった神経変性疾患が増えていますよね。
みなさんは、神経変性疾患の前段階として起きる精神疾患があることをご存知ですか?
たとえばパーキンソン病は、発症20年ほど前から便秘、睡眠障害、臭覚障害、うつ病といった前触れ症状が起きています。
小さな症状にこだわりすぎることは精神衛生上よくありませんが、だからといって歳だからとか、いつもある症状だからと「たいしたことない」と見過ごすことも違うと思います。
自分の心・カラダときちんと向き合い、将来の健康に向けて「いまの自分を整える」ことが大切なのではないでしょうか。